恒常の寵愛/仏足石歌 |
刻まれし目盛を抱きとりどりの積木は黙す 名前なき色、形なきこゑ 渇けども渇きゝれざるのみどゆゑ遅れ来し身と 咎とし得むや、幸とこそ得め 鍵などは懸けずともたゞ風に散る砂となるらむわらはめは泣く、しかれどもゑむ 夏呼べば夏は世を去りゆかむとしひとつ後からひとゆくかぎり みな影法師 変移せよ、変移するとふ恒常の寵愛うくる蔦の指す天 輪廻の自転 とこしへの免罪符などあらざらむ 求むるものゝ免罪ならず、みづからの謝罪 もう薄くなりゐる朝の陽のしたでほゝゑみながら嘆けばみづいろ 黙せばあゐいろ ゆく時に夏すら夏をえ留めず また思はゆるいづへにゆかむを、いづへゆ来るを ひと夏をまた数へてはさゝくれを剥かず撫でたし ひとなるゆゑに、ひとであるよし 弛みなくあり続くるを違へずに あれに母なるひとあまたにて、師すらもふさに 判らざるを判らるればひとみな安し たれも知らざるあしたはあれど、世とてあれども とほくとほく止むを知らじてをさな急きあれに聞こゆる空のいにしへ 風のみなもと 船頭の櫂ゆるゝかに謡ふごと さても渡れり、知らざるうちに謡ひしうちに 天上ゆ産み落とされし地にあれば旅にあるはしあもとあるごと、児であるがごと |
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