●18歳


 憂鬱な高三といふひと歳よ。鮪漁船の母港のやうな。

 ひとを恋ふ。恋ふるひとをし曝しゐる危難と思ほゆるゆゑ哀し。

 美しき論理の海へ哀惜を。割り切れぬもの、なほも美し。

 禁じられゐるゆゑなどゝ、こは詭弁。抑へ難きがたゞ怖ろしく。

 国文科、革命なれば身も斬らむ。ありありてこに戻りて来たり。

 父母に逆らひ初めぬ。けふわれはわれの空のみ飛びたく思ふ。

 殴られてなほも主張は主張ゆゑ理系は選らぬ。父との相克。

 もう五日、遅れし予定の底ひにはエゴとふ夢見がちなる童女。

 シゲさんのミニチュアになりゆくわたし。それが嬉しきバカをんなとふ。

 学費など自ら稼ぐ。決着はもとより望みゐたるものにて。

 革命を果たして空の広々し。「戻つておいで、私の時間」

 卒業はすなはち免罪符でありて、コソコソせずに逢はるゝ権利。




            
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