真理はひとつこにありて
こにそあらざるものにして
真理などなきとふ真理のみがたゞあり、とこしへに

生れたるゆゑにゆゑはなく
生くる術にも術はなし
ひとの子よろづ・ちよろづにありあればこそ
光あれ
また闇もあり
聖も邪も俗も等しく身に宿し
時に汚泥に沈む石
時に眩く白みては永久のりんゑを描く花
時に大地を焼き尽くす劫火
時には淀めどもなほも流るゝみづのごと

朝に産まれつ昼育ち夕に熟るれば夜にそ絶ゆ
春にあらはれ夏に満ち秋に稔りて冬に枯る
幾日幾月幾年も
あれ成すあれは幾兆も
星成すひとは幾億も
宙成す星は幾億兆
世を成す宙はいさ知らず

今宵ふたゝび綴らるゝ
神なき世にそ在る神の手にし成さるゝ時の河
積もり積もりて綿津見にあらたな陸はあした隆起す





たゞひとつ唱ふるものはこにある祈り

まんとら/長歌

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