金色/今様歌


金・銀・珊瑚・瑠璃に玻璃 お天道さまに翳し見りや
ぴかぴかきらり光るもの 鴉ぢやなくとも欲しや欲し

  大王・帝・将軍は 呼び名替はれど変はりやせぬ
  きんきらきんが貴くて お好きなものたあ金や金

耳輪・金襴また茶室 あれもこれもと金細工
とんちんかんと打ち伸ばし 飾り飾りやあ綺羅や綺羅

  山金・砂金・柴金を 集め集めて炉にかけりや
  とろとろどろり蕩けゆく あとは固めて打てや打て

花びら・雲母・翅に紙 それより薄く延ばすにやあ
ぽんぽこ狸の毛皮こそ 適ふはなけれこれやこれ

  一畳・二畳いや八畳 金が延ぶれば身代はりに
  たんたん狸は屠らるゝ あな痛ましやさてもさて

陰嚢・袋・金のたま 金に伴ひ伸びゆくは
ぶらぶらぶらりん八畳の お狸さまの玉や玉

  四国明神・福の神 金は尽くれど霊験は
  ぱんぱんぱんと拍手を 打ちや授けらる良しや良し

傘に徳利・おちよぼ口 おまけにやでべそが肝心で
たぷたぷたぽんの太鼓腹 なんと懐こい神や神

  庭先・店先・床の間に 今でも御座す狸像
  来い来い来いよ福に縁 明日天気になれやなれ





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