ひもろぎ


神籬はまた春ゑみぬ
上枝ゑみ
中枝もゑみ
下枝ゑみ
あはに弁は降り
風むだくごとく護れる奥つ城に
天降り給へる田の神に
こは標のうち
田の神の坐ます木なれば
畏くもゆゝしけれども
あれ願ふ
巫覡にならまくほしを
いで懸でむ、青和幣
いざ懸けむ、白和幣
祈ひ祷むもせむ
わざをきもしまくほしきは
植うる種
のち角ぐみて天を懸け
穂は峯にしてまた秀にて
なほし天降りて依りたまふこと叶へよと
広く厚く
称辞するくちなれど
わざをきしゐる手であれど
あれゆ離れたり
こは天の高皇産霊尊神の思ひがゆゑに
依られては
かはへ
むなぢも返してや
上枝ゆ
中枝ゆ
かつも下枝ゆうつり来よや来よ
をろちとならば呑まるとて
また幸さるとて
標のうち
こは標のうち
坐ましたまふ神の座ゆゑ
召したまへ
こが巫覡の身の所以
こが斎つ宮のうれしびと
豊葦原の隈もなきくがねいめとて
荒魂
狂ほし給へ
田神の座に

今夜ゑみなほし今夜に散るらむ座に神は来ぬ 
弁は衣なればみな脱きうてむ

願はくはなほし狂ほさまくほし、なほし 
祈ひ祷むはなほしかはへの統べまくほしを





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