悠けき螺旋/長歌

川は往く
離るゝことで知る思ひ
いかほど内ゆ見つむれど
内は内ゆゑ
外ゆ見し世とは等しく等しからず
外をし知りて振り向かば
見ゆる世
等しく等しからず

そのひとすぢに宿せるは
いづれは帰る意志ばかり
帰るためにし往く川は
海ゆ遥かにとほくとも
夏には夏の身がありて
冬にも冬の身あるごと
往くに適へる力もて
帰る日、力を脱ぎて捨つ

いまだゝれをも知りえざる
終の地
終の海いづく
終は終ゆゑもとにして
もとはもとゆゑ終にして
帰るは往くにほかならず
往くも帰るにほかならず
海あるゆゑに川あれば
川あるゆゑに海もあり

そのひとすぢに宿せるは
継ぎ来て継ぎゆく意志ばかり
なれば廻らむ
廻りて継がむ

世は廻る、大地も海も天も人とて廻りゆく たゞひとすぢのみづとて廻る
海と川 宿させしむるものも宿せるものさへも宿すきはなき悠けき螺旋




















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