大陸の潮/片歌連歌(独詠)

海とほく海より海に近き湖
容赦なき風の慟哭 崩落の痕

崩ゆることありえぬ巌 ひとを象り
顧みしその咎ゆゑの塩は濁りて

天の火が焼き尽くしゝ地 大河、濁流
境界の此方と彼方 いづれかひとつ

曖昧はあるいは迷ひ 世界の掟
こゝはこゝ、あそこはあそこ 透明な壁

逃ぐるでも逃げぬでもなく羊 城壁
守りたき1、そのための99 否

知らぬ間に否目となりし日々は過ぎ去り
また怯え初めゐる肩に潮の花、咲く

大陸の潮よ、定めは哀しくないか
打ち寄せて柱となりて、砂と散るとふ

散り/\て新たな罪を産みし洞窟
何よりも最初にありぬ 生まれ来し意味

昼は夜ゆ、夜は昼ゆ来ぬ 約束の地に
戒めは戒めとして、ヒトの限界

なぜ神をヒトは描くか 遅れ来し者
海亀の梦でゐし頃 進化なほ逸る

大海も所詮、湖 方舟のうち
世の光、地の塩 とほし、言葉がとほし

葉脈を辿る ルーツを探るかのごと
便宜的概念、それは緩衝材とも

衝突は交はり こゝに手にとるページ
新生は蘇生でもなく再生でもなく

源ゆまた下る河 中州にて生く
水ですら見られぬ高み 雲は流れて

もし明日、世界が流転するとしたなら
とほく近きあが足元の土、踏み締めむ






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