心象万華鏡・126/長歌

何よりも
最初にあつたものは波
あるいは熱と音、光
こゝとそことの隔たりを
越えたかつた日
閉ぢたのは両目
開いたのは両手
世界の波にわたくしの波を重ねて
熔け合はせ
土は脈打つ
みづは往く
風といふ名の放熱と
吸熱の根は
最初からひとつしかなく
波が、くる
根から伝はり満ちてくる
波に抗ふ愚かさを
知つてゐるのは何故なのか
知らないけれど従つて
波を産みだす
熱を産み、
音を産みだす術として
最初にあつたものは波
波を産みだすものも波
波に生かされ
波に生き
そのためにあるわたくしに
抗ふといふ愚かさは
知らない
最初の時から知らない

隔たりはあるけれどない 最後まで何故かは知らないまゝがいゝんだ







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