心象万華鏡・72/長歌


世界には世界はひとつ
でもそれは
世界に星の数ほども
世界があるつてことでせう
この眼に映し映り来る
世界の熱を確かめて
砂や波さへ数へれば
やさしいやさしいオルガンが
和音のやうに降つて来る
見え過ぎた眼にうたゝ寝を
いまでも聞こえ過ぎさうな耳にはとほい草原を
ゆつくり像が結ばれて
胸に広がる天球を
抱きしめてゐる抱きしめてゐる抱きしめて
吐息をひとつ

あたゝかい見えないかたまり 人の呼ぶ名前で言へばイノチつてこと











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