心象万華鏡・58/片歌連歌(独詠)


泣きさうな空に翳した色はみづいろ
あるやうでない境界に雲がゐたから

太陽のカタチに逢へる世界は赫く
遮断とふ冷酷だけを司る指

折れないで、遮らないで 深い紫
戻らない線があります もう戻れない

沖へゆくほどあをくなる海に引く線
セロファンを重ねてみても足りない 光

この夜に薄桃色をそつと重ねて
伝はつてゐます 微かな怒りなのですね

熱といふカタチの丸み そして伝誦
立体と平方が遇ふ夕焼けの前に

立つてゐる姿勢のせすぢ さういふ黄色
薄めたいものは生命力ではなくて

軽薄なきみどり それも愛なのだけど
孵すには星が還つて来てからがいゝ

まやかしはまやかしでいゝ あるはずはない
虹の色 ならば明けるな、夜よそのまゝ

透明といふない色が確かにあつて
そしてまた明日の空が地続きになる
















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