心象万華鏡・49/片歌連歌(独詠)
抱きしめた欅の梢 空のまなざし
影の中、向かうに満ちるものを感じて
千億の閃光といふ感応 痛み
知つてゐたとほい太陽・ちかい太陽
膨張を続ける宇宙 ゐるこゝはこゝ
触れさうで触れて離れるあの眩さよ
目眩く言葉の欠片 これは諦観
サヨナラのために帰つた夜道の果てに
寒昴 早春の夜にまた潤む星
瓶詰めの金平糖よ、自由におなり
川はゆく 平らになどはなれないまゝに
流れゝば陽射しを映すしづく 一瞬
瞬いてゐるのは星とあをい信号
目の端で横断歩道は乱反射する
断ち切つて断ち切る思ひ 地上の海流
天の火よ、塩の柱をどうか溶かせよ
水晶柱 冷たい石になるくらゐなら
日溜まりで梳く黒髪が恋しがる過去
捲り去るページの中に植ゑる光芒
空白といふぬくもりをそつとくるんで
p/ o poeta respeitável P.