心象万華鏡・47/長歌


真夜中はかほかほしてゐる粉の海
崩れ溶けだししやらしやらと
舞ひ飛ぶ過ぎた日々として
まだくずくずとしてゐても
カタチにならうと繰り返す
いづれ来る日の熱として
肌にしゆりんと貼りついて
肌をひしよんと剥がれゆく
わたしとわたし

もかもかの湯気で淀んだ鏡から
きよんと見つめる疲れた眼
右はぴやあん、なのだけど
左がみゆつと批判的
なんでこんなに怖がるの?

耳を塞げば海流がいごういごうと啼いてゐる
止まれないとふ残酷は
地球も知つてゐるやうで
わたしの中の海流と
どこかの波のしたをゆくとほい海流
お互ひに輪唱をして来たのだし
ぐにんぐにんとうづとなりとほくとほくへゆきませう

帰らぬ日々はぱしゆぱしゆひよん
来てゐる日々はみゆにみゆにるう
ゆきはかへりでかへるならまたゆくことと知る熱が
ふゆんふゆんと湯気になる
だから左の眼もすりりりん

ぽはぽはの毛布をきゆうと身に纏ふやう積もるもの 積もれば粉になつてゆくもの









                      









BACK   NEXT