心象万華鏡・44/長歌ソネット


やんはりと両手にくるむ
あをすぎる空の欠片の端つこがぼんやり潤む
これ以上できないくらゐ仰ぎ見た立方体の風、透けて
世界の音がまた消えて

まだ両耳は塞がない
星雲といふ絶え間ないちひさな既視感、縁取つて
うつすらと浮く汗そして響くせゝらぎ、止まらない
とほくちかくの血脈のノイズに沿つて

ひと塊の土は遥かな暖流と波頭のカタチ
心音の等間隔が躍りだす
大地と海と大空と光と闇が緩やかに流れて明かす
勾玉を象る命、世界の轍

発熱が最初にあつた 誕生それは何よりもみづを宿した旋律、とはの
幾重にも襞の生み出す光と影の中空に ちひさな飛沫、生まれた河の


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