心象万華鏡・27/片歌連歌(独詠)
万物はたゞ流転する 絶えず止まれず
同じとふ錯覚、それはとほくの岸辺
記憶など錯綜、または捏造の海
ねえ、あなた あなたの声が思ひ出せない
出涸らしの紅茶の渋のやうな気だるさ
苦いとふ苦さに少し安堵してゐる
苦しんだ分、飛び込める ウレタン・プール
この胸にいまだ止まないやはらかな雪
片々雪花(ピェンピェンシュエホア)が舞ふ 血色の広場
きな臭ひ直感 まるで皮の手袋
我侭と素直の境 睫毛が揺れる
もう上目遣ひはしない さう決めました
決断はひとつの克己 雲形定規
喝采を ホワイト・クラウンとふ自負さへも
勝ち負けはどうでもいゝよ 天上は晴れ
ぐん/\と昇つてゆけば 魔女の領域
小宇宙 流域で見た三日月湖だね
進むほど失つてゆく くちびるに歌
歌ふたび一重づゝ衣、素肌を滑る
ないといふ事実がこゝに 絶えることなく