心象万華鏡・11/片歌連歌(独詠)

澄み切れぬ思ひを映す空 たゞ広く
焦がれては登りゆく山 もつと近くへ

土の香でこの焦燥をしづかに溶かし
両腕をひらいて逃がす闇 水彩画

世界とは内と外との両界曼荼羅
内在と表現 天はそれぞれにある

あがうちのミクロコスモス それは深海
水圧に抗へばこそ叶ふ実感

お守の袋は叶結びで飾る
 天球儀 手を添へながら呪文をひとつ

 呪ひとてまた祝ひとて祀りは祀り
 火が爆ぜる、祝詞が上がる、夜はまだ明けぬ

 燃え尽きた気だるさ纏ひまだ微睡むも
 無情なる朝が再び 冷えゆくうなじ

 蒼穹はたゞ/\無限 然るに無間
 自らのちひさゝだけを確かめたくて

 自づから逢魔時に安堵してゐる
 煌きは消滅の色 極限は美で

 滅すれば発する 波も、雲も、光も
 清澄を望む 出来うることは信愛

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