心象万華鏡・8/片歌連歌(独詠)


ひと粒に繁る樹海は今宵の褥
雨音が招く幼さ まあるく眠る

けふも吐く弱音 確かに見た乱反射
一瞬の光を受けたミルク・クラウン

天よりの糸 幾本も土は受け止め
海は生を解き放ちゆく 珊瑚の産卵

珊珊と響く璧とも なぜ降り急ぐ
落ちるなら遥かにとほいとほい砂漠に

漠北は外蒙古とも モンゴルを恋ふ
五体投地 ぬかるみであれ、坂道であれ

坂枕、薦枕もて神を迎へむ
傾けた指を伝つた跡がひとすぢ

憂鬱は髪を梳く指 ちくんと痛い
宿りてはわづかに重み増さらせてゆく

蜘蛛の巣は綺羅を集はせ わづかに揺れて
この星に背き抗ふ刹那がいま散る

潤ふもなほ渇くもの 二律背反
  アスファルト 帰らないとふ仄酸さこゝに

  胸元がほのかに濡れて わたしが透ける
  ひとしづく 肌すべるのは水玉の熱

BACK  NEXT