いにしへのエクチュアにより人の子が授かり給うた媚薬とも
硬くもおほき殻のうち篭るは熱くなほ篤き
射干玉の夜を映すごと漆黒の艶まるでさう練り絹、打ち絹にも近き
色を湛へるひと塊が導くものは蕩けゆく恍惚さへも

密林に守られるかに鎮座する白き頂き錐となり天を目掛けてなほ目掛け
神座はつねに陽に向かひ昇る朝日を手招きつ
蒼くもおほき月迎へ捧げるまゝに贄の血と臓腑を掲げ
エクチュアよ奉つるなら祀るなら今も給ふかチョコレヱトわたくしを依代にしつ

月よ日よ満ち豊穣を果てなき樹海に遍はせカカオとふ実を敬ひて地の褥にて醸しゆき
祈りよ叶へ時満ちよ硬き殻など朽ちさせて真髄とふ名スピリチュア今こゝに抜き
濾して濃くなほ濾して濃くこゞらせてまたこゞらせて
照るほどに練る得る為に凝脂へとなるを凝視し叶ひゆく熱情の梦祈り孕みて

天に地に漂ふものは命を生きるものらより解き放たれた熱の衝動
甘やかに崩れとけゆく輪郭ゆゑに発祥を負うた営み 交はす切望

心象万華鏡・4/長歌ソネット

BACK  NEXT