あさがほ/長歌ソネット

あさがほの花は咲きしか
咲けぬまゝ止むることなど叶はざる時の流れに萎れしか
あるもの言へぱ咲きしとふ、あるもの曰く咲けじとふ
そのことはりは咲きしなむ、また咲けじなむ、むねに沿ふ

光に咲きし花あまた 咲くを願ひて咲き誇り
なれどつね/゙\散る散らぬ、咲きつ惑ひし花叢に
咲かざることで咲きたしと願ひて残り
咲かざりしゆゑに散らざる、いたづらに

あしたの空は清かにて短き時を刻むごと
露を湛ふるあさがほの花のおほきも、ちひさきも
霧の籬にむすぼゝれあるかなきかにいついづれなる宿世にも
なべて世のあはればかりをとふからにかたみに道をありきゆくごと

あくがるゝ花はあさがほ そのうちにいかな思ひの抱きゐるとも
ありとふはあるらむ、なきもあらざらむ いさ知りえざる露散らせども

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